ハードルは高い方が面白い。世の中を一つずつ変える仕事を。

リクルーティンググループ/マネージャー 山口 晃央
ハードルは高い方が面白い。世の中を一つずつ変える仕事を。

マイノリティから生まれた価値基準

神奈川県横浜市出身。共働きで金融業界に勤める両親のもと、何不自由のない幼少期を過ごしました。

サッカー、水泳、バスケットボール。

身体を動かすことが大好きで、スポーツに打ち込む少年時代でした。

中学では、学区の都合で小学校の友人と離れ離れに。
1学年約300人の中に知っている人はわずか20人ほどという“マイノリティ”な立場になり、人間関係を一歩引いた視点で見るようになります。

「いろんな人がいるな」と感じる中で、「ああゆうことはしたくないな」と感じる機会もありました。

この「悪い方にはなりたくない」という感覚は、今の自分に通じる価値基準になっている気がします。


選択できる力をつけるため、ファーストキャリアはベンチャーで。

大学時代は、完全歩合制のアルバイトをしていました。
同世代が多く暇な時は雑談ばかりしているようなラフな環境でしたが、やった分だけ成果が返ってくるので年齢のわりにはそこそこ稼いでいたと思います。
しかし、ここでも「稼ぎたい」という強い動機があったわけではなく、「お金はないよりはあった方がいい」という感覚でした。

そんなバイト先で出会ったのが、ひとつ上の先輩で、circusの代表である矢部です。
この仕事は、ある程度“押しの強さ”がないと成績を出しづらい環境でしたが、矢部は周囲との関係性を大切にしながら、仕組みや工夫によって成果を出すタイプでした。
そのバランス感覚が印象に残っています。

大学3年生の就職活動の時期に、東日本大震災が発生しました。 
多くの企業が採用を取りやめ、選択肢が徐々に狭まっていく中で、 「自分で決めたこと以外のもので人生を左右されたくない」と思うようになりました。

自分の力で選択できる力をつけるべく、成長環境を求めて従業員30名ほどの人材系ベンチャー企業に入社。
営業としてキャリアをスタートし、2年後にはマネジメント職へと昇進しました。

当時は「トップセールスが採用人事を担当する」というトレンドもあり、次に人事部へ異動しました。
結果として、入社から5年間で、営業・マネジメント・人事という3つの役割を経験することができました。

今思えば、年齢に対して昇進スピードは早かったと思います。
ただ、当時はそれが世の中でどれほど評価されることなのかもよくわかっていませんでした。
また、従業員30名規模の会社だったこともあり、組織としての“アッパー”が見えはじめていた頃でもあります。

そんなときに出会ったのが、とあるヘルステック企業でした。
社員数は約1,800名。上場企業として増収増益を続けており、今後50個の新規事業を立ち上げるとのこと。
ビジネスの規模感や蓄積されたナレッジの厚みは、当時の環境では何年かけても得られないものばかりで、 ここでなら、より大きなスキルや経験を積めると感じ、転職を決意しました。

視座が上がる中で見えてきたもの

ヘルステック企業では採用人事として入社しました。
その会社における採用人事は「管理部門」ではなく、ビジネス職として位置づけられており、経営と採用が密接に結びついているのが特徴的でした。

「このポジションの採用が会社にもたらすインパクトは?」
「なぜ今、この人材が経営上必要なのか?」。
日常的に経営戦略と人材戦略が合致する会話が発生しており、その視座に追いつくだけでも大変でした。

強制的に視座があげられていく日々の中で、自分がこれまで“成長”としていたもの。たとえばスキルや業務の習熟といったものは、実は時間をかければ身につけられる“ハードスキル”の範囲だったのかもしれない、と思うようになりました。

それよりも、「何をどう考えるか」というプロセスや思考の幅、いわばソフトスキルが育っていく感覚の方が、ずっと面白いと感じるようになりました。

そうなると、どんな会社にいても、どんな職種であっても、ビジネスがある限りそこには課題があり、学びがある。
逆に言えば、「どこで何をするか」は、それほど重要ではないのかもしれない。
そんな考え方になっていきました。

当時、33歳。
エキサイティングな40代を過ごすために、一回リセットしてやりたいことをやろうと思い、ヘルステック企業を退職することにしました。


矢部との再会。circusへのジョイン

退職後、個人事業主として働いていたある日、久しぶりに矢部から連絡がありました。

 「circusで新しいことをやろうと思ってるから、一度話そうよ」

大学時代のアルバイトで出会って以来、同じ人材業界で働いていたこともあり、やりとりは細く長く続いていたんです。
もともと矢部の「マンパワーではなく、仕組みで課題を解決していく」という考え方が、感覚的に合うなと感じていました。

これまでに出会ってきた経営者の多くは、夢を語るか、勢いで突き進むタイプが多かったのですが、矢部はそのどちらとも違いました。 

情熱を表に出すタイプではないものの非常に現実的で、理にかなった判断を積み重ねていく人。
それでいて、プロダクトの細部にまでこだわり、 「経営者がそこまで現場に降りるんだ」と驚くほど手を動かす場面を何度も見ました。

理念を語るだけではなく、現場の実態をきちんと見た上で事業を創っている。

その姿勢に共感し、まずは業務委託として、週2〜3日のペースでプロジェクトに参画することにしました。

新規事業で取り組んでいたのは、人事向けのソリューションサービスです。
「ユーザーに本質的な価値を提供するには?」という問いに対して、circusのアセットや既存の枠組みにとらわれることなく、ゼロベースで向き合い続けます。

関わる中で、矢部が本気で「HR業界を良くしたい」と思っていることが伝わってきました。プロダクトへのこだわり、細部への目配り、求める水準の高さ。

週2〜3日という関わり方では、その期待に応えきれないと感じ、正社員としてフルコミットする決意を固めました。

それから2年。
ひとりだったプロジェクトは少しずつ仲間が加わり、やがて「チーム」と呼べる形に。

今では「事業部」として社内に根付き、私はそのグループの責任者を任されるようになりました。

なりたい自分より、つくりたい世の中

「新規事業の立ち上げ」と聞くと、どこか華やかなイメージを持たれるかもしれません。
でも、実際は楽しい瞬間なんてほんの一握りで、8割は辛さとの戦いです。

それでも、責任やプレッシャーの中で新しいことに挑戦し、何度も壁を乗り越えていく。
その先にしか、「変化する自分」と「世の中を変える仕事」は存在しないと思っています。

今、ありがたいことに、さまざまなタイプの仕事を任せてもらっています。
だからか、時々「山口さんって、circusでどうなりたいんですか?」と聞かれることがあります。

正直なところ、僕にはなりたい何かはそんなにないんです。
ただひとつ、思っているのは
「世の中が、なるべく良い状態になることをしたい」ということ。

だって、世の中は悪くなるより、良くなる方がいいと思うから。


※所属・役職はすべて取材当時(2025年7月時点)のものです。